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甲状腺の病気・行われる検査と症状

甲状腺の病気・行われる検査と症状

 甲状腺は人間の元気(新陳代謝)に関わるホルモンを作る場所です。人の体は性ホルモンをはじめ約30種類のホルモンによって体内バランスを調整されています。そのホルモンを作っている器官を内分泌機関と呼び、甲状腺もその一つです。甲状腺からは、サイロキシン(チロキシン)、トリヨードサイロニン(トリヨードチロニン)と呼ばれるホルモンが分泌されています。
 甲状腺はくびの前方、のど仏の下にあります。大きさは、縦が4cmほどで、重さが18g前後、形は蝶が羽をひろげたような形で、すぐ後にある気管(空気の通り道)を抱き込むようについています。ごく薄く柔らかい臓器のため、普段はくびを触ってもわかりませんが、少しでもはれてくると、手で触ることができます。さらに、ある程度以上に大きくなると、くびを見ただけではれがわかるようになります。そのため、「くびの腫れ」から甲状腺の病気に気づくケースも少なくありません。
 ここ「甲状腺の病気・行われる検査と症状」では、甲状腺の具体的な働き、そして甲状腺の病気を原因、症状、検査、治療を中心に説明しております。


1、甲状腺の構造と働き

甲状腺の構造と働き  甲状腺は人間の元気(新陳代謝)に関わるホルモンを作る場所です。人の体は性ホルモンをはじめ約30種類のホルモンによって体内バランスを調整されています。そのホルモンを作っている器官を内分泌機関と呼び、甲状腺もその一つです。甲状腺からは、サイロキシン(チロキシン)、トリヨードサイロニン(トリヨードチロニン)と呼ばれるホルモンが分泌されています。
 甲状腺はくびの前方、のど仏の下にあります。大きさは、縦が4cmほどで、重さが18g前後、形は蝶が羽をひろげたような形で、すぐ後にある気管(空気の通り道)を抱き込むようについています。ごく薄く柔らかい臓器のため、普段はくびを触ってもわかりません。


2、甲状腺ホルモンの働き

 甲状腺ホルモンには、新陳代謝と高め摂取したたんぱく質、脂肪、炭水化物を代謝し体組織を作る働きや、エネルギーを作る働きを促す働きがあります。そのため、胎児の発育に重要な働きをしたり、子どもの成長に重要な役割を持っています。
 甲状腺ホルモンは、ヨウ素(ヨード)の元素を4つ持っているサイロキシン(T4)と、3つ持っているトリヨードサイロニン(T3)の2種類があります。甲状腺ではおもにサイロキシン(T4)を作り、このサイロキシン(T4)が肝臓などにいってトリヨードサイロニン(T3)になり、これがホルモンとしてのの働きをします。
 また、血液中の甲状腺ホルモンの分泌量を常に最適量に維持できるよう、脳下垂体から分泌される甲状腺刺激ホルモンによって調整されています。甲状腺刺激ホルモンは甲状腺を刺激し甲状腺ホルモンを分泌させる働きを持っています。
甲状腺ホルモンの働き


3、甲状腺の検査

甲状腺の検査  甲状腺の検査は機能に異常があるかどうかを、甲状腺ホルモン(サイロキシン、トリヨードサイロニン)と甲状腺刺激ホルモン(脳下垂体から分泌)の血中濃度を測定して調べます。
 病因を特定するには自己抗体検査をおこないます。これは、橋本病やバセドウ病では自分の甲状腺を異物とみなして甲状腺に対する自己抗体ができてしまうためです。
 また、甲状腺腫瘍が発見された際は、良性か悪性かきちんと鑑別するために、超音波・シンチグラフィー・MRIなどの画像検査を行い、さらに甲状腺腫瘍の組織検査である穿刺吸引細胞診を行ういます。


4、甲状腺の病気

 甲状腺の病気には大きく分けて、甲状腺の機能が以上に高まってしまう「甲状腺機能亢進症」。逆に甲状腺の機能が低下してしまう「甲状腺機能低下症」に大別することができます。
 甲状腺疾患にかかると、だるさ、易労感、体重の急激な変動、心拍数の変化、脱力感、無力感等が現れるため、心疾患や更年期障害、うつ病や癌などの心配をされる方が多くいらっしゃいます。
 甲状腺の病気には甲状腺炎や甲状腺腫や癌などもあり、これらの病気においても同じような症状を示すことがありますので、気になるような症状が出てきた際は、病院を訪れ検査をするようにしましょう。
 以下に甲状腺機能亢進症をはじめとした疾患をまとめましたので、どうぞ参考になさってください。
甲状腺の病気

①甲状腺機能亢進症

 甲状腺内組織の活動が異常に活発になることにより、トリヨードサイロニン又はサイロキシン、或いは両方の甲状腺ホルモンの分泌量(活性)が過剰になる疾患です。甲状腺ホルモンは細胞レベルで非常に重要な役割を持つなホルモンで、影響は体のほぼ全組織に及びます。

バセドウ病

 バセドウ病では血液の中に自分の甲状腺を攻撃する自己免疫疾患です。そのために甲状腺が肥大し甲状腺ホルモンが過剰に分泌され、甲状腺機能亢進症の症状を引き起こします。甲状腺機能亢進症の約70~80%はバセドウ病が原因といわれています。

甲状腺クリーゼ

 甲状腺クリーゼは甲状腺が突然、極端な機能亢進を起こし、全身の機能は危険なほど高まります。甲状腺クリーゼは甲状腺機能亢進症の治療をしていないか、不十分な場合に起こり、緊急的な治療が必要な状態であり、致死率は30%といわれています。

機能性甲状腺腺腫

 機能性甲状腺腫瘍により甲状腺ホルモンの過剰分泌を引き起こし、甲状腺機能亢進症を生じる病気です。(別名プランマー病)

下垂体腺腫

 下垂体腺腫には、ホルモン産生型とホルモン非産生型に分けられ、前者のタイプでは下垂体からは様々なホルモンが分泌されているため、あらゆる影響が全身に現れます。中には甲状腺刺激ホルモンが含まれるため、その栄養により甲状腺ホルモンが産生過剰となり甲状腺機能亢進症を引き起こします。


②甲状腺機能低下症

 甲状腺ホルモンの分泌量(活性)が不十分となる疾患です。代謝内分泌疾患の一つで、先天性、或いは幼少時発症のものは発達上の障害が大きな問題となるため特にクレチン症といいます。

クレチン症

先天性甲状腺機能低下症で、生まれつき、甲状腺の形成が異常であったり、ホルモンを作ることができなかったりして、甲状腺ホルモンが不足している状態になる病気です。

橋本病

バセドウ病と同じく自己免疫疾患の一つです。橋本病では攻撃して破壊してしまうため、破壊された甲状腺は働きが悪くなり、甲状腺ホルモンの絶対量が低下し甲状腺機能低下症を引き起こします。
橋本病の別名を慢性甲状腺炎と呼びます。


③甲状腺炎

 何らかの原因により甲状腺が壊れ、蓄えられていた甲状腺ホルモンが血液中にもれ出し、一過性の甲状腺機能亢進症を引き起こす病気です。

無痛性甲状腺炎

何らかの原因により甲状腺が壊れ、蓄えられていた甲状腺ホルモンが血液中にもれ出し、一過性の甲状腺機能亢進症を引き起こす病気です。亜急性甲状腺炎と違い、甲状腺に痛みがないため無痛性甲状腺炎と呼びます。

亜急性甲状腺炎

何らかの原因により甲状腺が壊れ、蓄えられていた甲状腺ホルモンが血液中にもれ出し、一過性の甲状腺機能亢進症を引き起こす病気です。ウイルスが原因ではないかとも割れています。2~5か月で治癒し慢性化することはありません。
一般的に、後遺症はありませんが、まれに甲状腺機能低下症になることがあります。

慢性甲状腺炎(橋本病)

 バセドウ病と同じく自己免疫疾患の一つです。橋本病では攻撃して破壊してしまうため、破壊された甲状腺は働きが悪くなり、甲状腺ホルモンの絶対量が低下し甲状腺機能低下症を引き起こします。
橋本病の別名を慢性甲状腺炎と呼びます。

急性化膿性甲状腺炎

 下咽頭からの細菌侵入により甲状腺周囲に感染が起こり発症する、細菌感染症です。比較的まれな疾患です。


④甲状腺腫瘍

 甲状腺腫瘍には「良性の腫瘍」と「がん」があります。良性腫瘍のほとんどは濾胞腺腫です。甲状腺がんには乳頭がん、濾胞がん、未分化がん、髄様がんがあり、そのほかに悪性リンパ腫が甲状腺にできることがあります。

甲状腺腺腫

甲状腺腺腫とは、甲状腺にしこりができているという状態をいい、厳密には疾患名ではありません。

甲状腺がん

乳頭癌、濾胞癌、未分化癌、髄様癌、悪性リンパ腫があります。甲状腺がんの中では、圧倒的に乳頭癌が多く、約80%を占めます。


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甲状腺の病気について
1、甲状腺の構造と働き
2、甲状腺ホルモンの働き
3、甲状腺の検査
4、甲状腺の病気
①甲状腺機能亢進症
 バセドウ病
 甲状腺クリーゼ
 機能性甲状腺腺腫
 下垂体腺腫
②甲状腺機能低下症
 クレチン症
 橋本病
③甲状腺炎
 無痛性甲状腺炎
 亜急性甲状腺炎
 慢性甲状腺炎(橋本病)
 急性化膿性甲状腺炎
④甲状腺腫瘍
 甲状腺腺腫
 甲状腺がん
 (分化がん)
 ①甲状腺乳頭癌
 ②濾胞癌
 (分化度中間型)
 ①髄様癌
 (未分化がん)
 ①甲状腺未分化がん
 ②悪性リンパ腫
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