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甲状腺クリーゼの原因・症状・治療について|甲状腺の病気について甲状腺クリーゼとは、基礎疾患として甲状腺ホルモンが過剰になる甲状腺機能亢進症がありながら、治療されていない、病気のコントロールがあまりよくない時などに体に強いストレスがかかると、突然起こる難病です。甲状腺機能亢進症の治療が突然中止された時にも起こります。甲状腺クリーゼは、甲状腺のコントロール不良な状態で外傷や手術を受けたり、妊娠・分娩などが原因として発症することもあります。 症状は38℃以上の発熱、けいれん、意識障害などの神経障害、1分間に脈拍が130回以上になる頻脈、不整脈、心不全などの症状が出現します。治療が遅れると死に至る重症の状態です。 |
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甲状腺クリーゼの症状甲状腺クリーゼの症状として、次のような事があげられます。不安いらいら、それに伴う多動、脱力 (上肢と大腿)、手指の震え、発汗異常、耐暑障害、頻脈、だるさ、食欲低下を伴わない体重減少、下痢・蠕動運動亢進などがあります。また、女性においては月経不順・停止が起こる場合があります。男性の場合は勃起不全などが起こります。ただし、高齢者は、高熱、多動などの典型的クリーゼ症状を呈さない場合があるため注意が必要です。 甲状腺クリーゼの検査(診断)①甲状腺クリーゼの診断基準(必須項目)甲状腺中毒症の存在(遊離T3 および遊離T4の少なくともいずれか一方が高値) (症状) 1、中枢神経症状 不穏、せん妄、精神異常、傾眠、けいれん、昏睡。 意識の状態 Japan Coma Scale (JCS)1以上(日本で使われる意識障害の震度の評価) または Glasgow Coma Scale (GCS)14 以下(欧米などで使われる意識障害の震度の評価) 2、発熱(38 度以上) 3、頻脈(130 回/分以上) 4、心不全症状 肺水腫、肺野の50%以上の湿性ラ音、心原性ショックなど重度な症状 NYHA分類4 度(心不全の重症度) または Killip 分類 III 度以上(急性心筋梗塞での心機能障害の重症度を分類したもの) 5、消化器症状 嘔気・嘔吐、下痢、黄疸を伴う肝障害 (確実例) 必須項目および以下を満たす a.中枢神経症状+他の症状項目1つ以上、または、 b.中枢神経症状以外の症状項目3 つ以上 ・疑い例 a.必須項目+中枢神経症状以外の症状項目2つ、または b.必須項目を確認できないが、甲状腺疾患の既往・眼球突出・甲状腺腫の存在 があって、確実例条件のa またはb を満たす場合 甲状腺クリーゼの治療1.甲状腺ホルモン合成阻害メルカゾール(メチルメルカプトイミダゾール)甲状腺のペルオキシダーゼという酵素を阻害して、甲状腺ホルモンの生合成を抑制します。 プロパジール(プロピルチオウラシル) 甲状腺ホルモンの合成をおさえて、その分泌を減らします。結果的に、甲状腺機能亢進症 のいろいろ な症状が改善されます。 2.血中の甲状腺ホルモンを下げるルゴール 1回10滴 6時間ごとに経口 7日間内服用ルゴール液には1滴あがり6.3mgのヨードが含まれいますので、ルゴール液1滴には4mg のヨードが含まれている。甲状腺ホルモン分泌抑制のためには10mg/日のヨードで十分ですが 甲状腺クリーゼの場合には、下痢による吸収不全のため100mg以上の大量ヨードが必要 またはヨウ化カリウム(38.2mg)1日1錠 ※ヨードのかわりに市販の造影剤(100ml/日)を用いることもあります ※ヨードアレルギーの場合 リーマス(炭酸リチウム) 1回300mg 1日4回 6時間ごと 炭酸リチウムは甲状腺ホルモン分泌抑制作用をもつ。血中濃度を1mEq/lに保つ。 3.循環不全にたいしてインデラル(プロプラノロール) 1A2mg1mg/分で10mgまで 10分かけて静注、その後20mgを6時間ごと経口投与 あるいはヘルベッサー90~180mgを分3で。 心不全へのジギタリスは2倍量。 4.甲状腺ホルモンのT4からT3への変換を抑制するソルコーテフ(ヒドロコルチゾン)1回100mg 6時間ごとに静注 5.発熱にアスピリンは使わない(アセトアミノフェンはOK)代謝亢進作用、甲状腺ホルモン結合蛋白から甲状腺ホルモンを置換する作用があるため原則として用いない。 6.FT4を3-7日ごとに測定する。正常化すればヨード剤中止可。中止後1-2週間は増悪の可能性も考えておく。FT4正常化もしくは2-3週間たってから抗甲状腺薬減量を考える。 |
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